わんぱく捕物帖
 取調官はかあちゃん。
かあちゃんは我が家の「おきて」そのものである。
No.72 どろぼうねこ事件 00/08/17 被告人:まろ
  
夏休みだ。 
今年も福島のかあちゃんの実家で暮らす。 
あいかわらず、去年の正月の騒ぎを後悔してか、まろの「借りてきたねこ」状態は続く。 
あまりにも気を使っているので、家族がみんなかわいそうに思うらしく、結構待遇は悪くない。おいしいものがあれば皆「まろちゃんはこういうの食べないの?」とくれようとする。姪達も出先から帰れば「まろちゃん、お留守番お利口さん♪」とほめる。常に人間の食べ残しをネコエサと考えてきた母に至っては「肉も魚も盗まないなんて...」と哀れむ始末。 

ある晩、恒例の「(外なら涼しいし準備も片づけも楽だから)芝生の上でバーベキュー」が行われた。 
イカも食べたいので買ってこいと命じられた母は、「売っていなかった」と、代わりにハシリのサンマ@500円を買ってきた。うううう。信じられない。サンマなんか100円以上じゃ絶対買わない。だからこのうちは万年貧乏なのだ。ま、客がきていたので母としては多少奮発したのだろう。 
しかし、大枚はたいて買ったサンマだったのに、客人は飲むばっかりでちっとも食べない。いや、食べないなら食べないで箸をつけなきゃいいのに、ちょいちょいとつつきながら(食べはしない)酒を飲む。私としては、「明日食べるから返して下さる?(^^;)」と言いたいところだった。 

そして楽しくバーベキュー終了。さすがに盆だ。家族が多いので、片づけも楽ちん。 
しかあし!みんなが外にいるのをいいことに。あんなに「キャットフードしか食べなくておりこうさん」といわれてきたまろが、なんとみんなの隙をついて、台所で客の残したサンマをむさぼり食っていた。 
まろは、家でもあげたって魚を食べたことはほとんどなかったから、こっちの方がびっくり!見つかったのを知ったまろは、「はっ!」としてとたんに食べるのをやめてしまった。そして申し訳なさそうに頭を垂れている。 
それを見た母は、「ネコなんだから、魚泥棒は当たり前よ。」とまろの擁護に立った。すげえ。あまたに来ると何でもするあの母が。まろもネコをかぶってきた甲斐があるってもんだ。 
「残りも全部あげなさい」と母は言い、冷蔵庫にしまったのだった。が、翌朝出された冷えたサンマを、まろはどうやっても食べようとしなかった。そして「焼きたてしか食べないぜいたくもん」の烙印を押されたのであった。せっかく築き上げてきたものが、一瞬にして崩れる瞬間を見た。まるでベルリンの壁...

  
判決:泥棒はいけません。 
ネコは冷えすぎた物は食べないと知ったのは先日。すまんな、まろ。