No.107 まろ、病院へ行く |
2001/10/24 |
被告人:まろ |
朝、トイレから上半身を出して、用を足すまろを見た。
が、出てきてからしきりにシッコの出口を舐めている。トイレを覗くと、シッコボールはできていなかった。ま、たまにはあることだが、あまりにも長時間舐め続けるので、ふと不安になった。かあちゃんは膀胱炎も尿管結石も経験している。「様子見てみれば〜」とのんきなとうちゃんを振りきって、病院に予約を入れる。
病院ではさんざん悪事を働いているので(事件簿No21)、正直言うとあまり行きたくないのが本音。しかしそうも言っていられない。
さて、病院に着き、受付。待合室で他のワンニャンに会うのは、決していい結果を招かないことは過去の通院で承知済み。外で待つこと15分。まろは買って一週間たったパンみたいにパカパカに堅くなって、ブルブル震えていた。まろにとっては、病気よりも怖いのが病院なのだ。少しだけ、後悔が胸をよぎる。
女性3人連れで小さなアメショちゃんを連れてきていた一団が帰ると、ようやく診察室に通された。幸い(?)看護婦のお姉さん二人は二年前と入れ替わっていて、これが、「あの」まろだということには気づいていない様子。へっへっへ。
キャリーに入れたまま、申告して私がエリカラを付ける(まだ看護婦さんよりはかあちゃんの方が抵抗は少ないはずだ)。既にまろは看護婦さんに向かって威嚇の嵐だ。エリカラはようやく首にくくりつけた。先生はまだ電話相談にかかりきりなので、キャリーにバスタオルをかけて待つ。がるるるがるるるると唸るバスタオルの固まり。我が子ながらやっぱり怖い。(^^;)
先生が登場した。「どしたのまろちゃ〜ん」と優しく声をかけてくれる。しかしまろは既に猛獣と化しているので、返事は「シャーッ!がるるるー」。たいそう愛想のない患畜である。
エリカラも着いていることだし、いくらなんでも尻から引き出せばキャリーの外に出せると思ったが、引いても押しても出てこない。それどころか、火事場の馬鹿力でまろは狭いキャリー内をエリカラを着けたままUターンして(!)先生に襲いかかろうとする。こりゃダメだ、となってまたいつもの鎮静剤を打つことに。しかしその注射さえも打つのに大格闘。キャリー内にパンパンにバスタオルを詰め込み、身動きをとれなくしてようやく注射に至る。受付からようやくおとなしくなるまで、とうとう一時間もかかってしまった。
朝ご飯を食べてしまっていたので、エリカラはゲロで汚れ(注射の影響で吐いてしまうらしい)、シッコの病気だってのに、お漏らしもしてしまった。診察台とキャリーの底にたまったシッコの滴をスポイトで吸い集め検査に回す。
尿道にカテーテルを入れるが、詰まっている様子はないという。ただ、ph値は9とかなりアルカリに寄っている。プロテイン値も高い。シッコ中には結晶が出来はじめていた。顕微鏡を覗かせてもらうと、味の素みたいな粒々がたくさん見える。これが結石になる元だそうだ。量は多めだが、幸いまだ結晶が小さいので、処方食でしばらく様子を見ることになった。カテーテルからは酸性の薬剤を入れてもらう。これで中和されて解けることもあるらしい。
せっかくの機会なので、と、鎮静剤が効いているうちに耳の掃除、肛門線を絞ってもらい、爪切り、体重測定、ワクチン接種などフルコースでお世話していただく。目は開きっぱなしで宙を睨んだまま。看護婦さんが「目が乾いちゃかわいそう」と粘度のある点眼薬をさして、手でにょきにょきと瞬きをさせてくれた。
「まろちゃんにとっては、かなり屈辱的なんでしょうねぇ」と先生。鎮静剤が効いていても意識があるそうで、まろはずっと力無く威嚇し続けていた。カテーテルを入れるときや、そこから薬剤を注入するときに、かすかに眉間にしわが寄るのをかあちゃんは見た。(^^;)
先生との雑談の中で「かわいがりすぎちゃって、まろちゃんは自分がおうちで一番偉いと思ってしまってるのかもね」という発言が出た。別にイヤミでも何でもないし、うちの為に言ってくれているのはよくわかる。よく言われるのだが、どうもかあちゃんはは釈然としない。悪いことをしたときは結構きつく叱ってきたし、とうちゃんなんか、超暴力親父である。そこで、何気なく話題を変えてみる。「そういえば元親さんちの猫ちゃんはお見えになりますか?」「そうね、最近は見えてないかしら。そうか、まろちゃんはあそこからもらった猫ちゃんなのね。あそこの猫ちゃんは気が強い子が多かったわ、そういえば。」
よしっ。前に看護婦さんに聞いた話と一致する。少し納得して自己憐憫に浸る。
鎮静作用を解く薬を注射してもらい、会計をすませ、家路につく。醒めきらないまろのよろよろした千鳥足に、涙がじんわりしてくるのを押さえて仕事に戻ったのであった。
←べたべたした目薬のせいで目が開かないの。クマもできたの。
さて。仕事をいつもより早めに切り上げて帰宅する。が、室内に一歩入って唖然とした。
上目遣いに見上げるまろの背後には、食いちぎられたカリカリ「猫のお気に入り」の袋と、吐かれてふやけて大きくなった、「『元』猫のお気に入り」がそこら中にぶちまけられていたからである。
うっ。そうだった。キャリーは普段はまろの緊急持ち出し用のカリカリやタオルなどを入れてある。病院に行くときに、それを出したのを忘れていた。ああ、今日から処方食ライフだというのに、しょっぱなから失敗してしまったのであった。 |
判決:今日は特別。早く元気になろうぜべいべ〜。
そうでないと、本日のお会計20,370円(うち鎮静剤5,000円也)も報われぬ。
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